公益社団法人日本獣医学会疾患名用語集
 
動物腫瘍のWHO組織学的分類
2018年11月
日本獣医学会病理学分科会
 病理組織診断書や病理学的なレポートを書く際には、種々の学術書を参考にするが、その場合苦慮する場面に多々遭遇する。それは参考とする学術書の多くが洋書で、対応する日本語訳がない用語が存在するからである。ヒトの医学書に類似した英名が存在する場合は、その訳語を参考にすればよいが、獣医学分野でしか用いられない専門用語の場合、各人で和訳する必要があり、その訳語が一般的なものとなっているか疑念を抱くことが多い。既に公開されている獣医病理学用語集(日本獣医病理学会)や日本獣医学会疾患名用語集(日本獣医学会)には、腫瘍の診断名についての記載がなく、腫瘍診断業務の側面からは不十分といえる。一方,病理学分科会と日本獣医病理学専門家協会(JCVP)では動物腫瘍のWHO組織学的分類の改訂を機に、腫瘍診断基準策定委員会が企画するセミナーが2001年から毎年開催されてきた。そこで、本委員会でWHO腫瘍分類の日本語訳を提案することになった。2015年本用語集のホームページに別枠で委員会案が掲載され学会会員からのご意見を広く募集することとした。その後,寄せられた貴重なご意見を参考に若干の修正を経て、今回正式に委員会案が疾患名用語集に盛り込まれることとなった。ヒトの腫瘍でも「取り扱い規約」と教科書等の日本語訳が異なる場合があるように、これら訳語を唯一無二と考えるのではなく、ひとつの基準あるいは苦慮した際の拠り所として本用語集が広く受け入れられることを願っている。

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動物腫瘍のWHO組織学的分類
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